ゲイ映画『Prayers for Bobby』ネタバレ&感想 息子がゲイだと知った母。息子を追い詰めた母親。たった一人のゲイの存在が母だけではなく世界を大きく変える。








映画をまだ観ていない方は、映画の結末まであらすじが掲載されているのでご注意ください。鑑賞後に読んでいただけたら嬉しいです。いつもありがとうございます。
テレビ映画『Prayers for Bobby』を鑑賞しました。

簡単なあらすじ

敬虔なクリスチャンの家庭。ある日、愛する息子がゲイだと分かる。母は息子の性癖を認めず、息子は自害てしまう。それからというもの、後悔と懺悔の日々が始まる。

概要

原作『Prayers for Bobby: A Mother’s Coming to Terms with the Suicide of Her Gay Son』を元にしてテレビ用映画として公開された本作。

原作のタイトルにもあるように、息子がゲイであるということを理由に自害してしまい、それに苦悩する母の姿が描かれています。

前半は息子の苦悩を中心に、後半は母の苦悩を中心に描かれています。

はじめは受け入れられなかった息子の性癖。しかし、彼の自害を通して母の中で大きな変化が起きます。

もし息子が命を絶たなければ母は変わることなく、ホモフォビックな考えのまま寿命を全うしていたはず。

世の中、ホモフォビア(同性愛嫌悪)な方々もいますが、自分の子供がそうだったら同じようにできるでしょうか。

決して他人事ではない。

ゲイの息子の物語ではなく母の成長物語。

子を持つ全ての母親に見てほしい映画です。

出演者

シガニー・ウィーバー

息子の性癖を認めないキリスト教に敬虔な母親役を完璧に演じていました。すごい演技力!

 

ネタバレ

『I need to listen, I need to answer』

教会の聖歌隊の歌から始まります。

 

4人の子供を育てるメアリーは敬虔なクリスチャン。

それでも旦那や子供たちのことを心から愛し、家庭は笑顔で溢れています。

 

『同性愛者は列になって銃で撃たれるべきよ』

 

そんな同性愛嫌悪の家庭でもありました。

 

あるとき、

母メアリーの息子ボビーが、クスリの過剰摂取により自害しようとする現場を発見。

 

ボビー『僕は女の子を愛せない。おそらく男が好きなんだ。』

 

そんなボビーの衝撃発言は家族関係を根本から覆す出来事となります。

 

母メアリー『ゲイは心の病気。きっとストレートに戻るに違いない。だって彼女がいたじゃない』

 

そう信じる母メアリーは、たくさんの本を読んだり、ボビーをカウンセラーへ連れていくなど努力をしますが、ボビーはめちゃくちゃ嫌そうです。

ボビー『ママ、僕は変わらないよ。どうせ僕が不特定多数の人とやって、そのままAIDSになる思っているんだろ。』

 

母メアリー『ホモセクシュアルの息子なんて認めません。あなたのためにわたしは努力しているのよ。』

 

ボビー『違うよ、ママ、自分のためだろ。ゲイの息子がいるなんて恥ずかしいんだろ。それなら僕はもう息子じゃないよ。』

 

家族総出でボビーを気遣うも何も変化は起きません。

 

 

ボビー『僕は将来、小説家になりたいんだ。』

 

『そんなの無理に決まっている。』

 

家族はボビーのなすこと全てに反対。全てを否定されるボビーの表情は暗いです。

家族だけではなく、近所にもボビーがホモセクシュアルであるという噂が広がり始めます。

 

ボビー『もうここにはいられないよ。みんな僕のことを見てくる。』

 

母メアリーは未だに神が癒してくれると信じて疑いません。

母メアリーは、ボビーの男らしくない服装や言動にケチをつけはじめるようにもなります。

 

あるとき、

オレゴン州ポートランド在住のボビーのいとこがやってきます。

 

『ボビー、よく聞いて。あなたの母や周囲の人は決して理解してくれないわ。』

 

ボビーの性癖を完全に受け入れてくれた従妹。

ボビーは家から離れ、しばらくポートランドの彼女のもとで過ごすことにします。

 

ゲイフレンドリーな街ポートランドにやってきたボビー。

ゲイバーでは素敵な恋人ができ、充実した生活を送ります。

 

一時的に、家族の元へ帰るボビー。ボビーは嬉しそうに話します。

 

ボビー『恋人ができたんだ。それにすっごい楽しいんだ。』

 

母『ホモセクシュアルは罪。一生地獄に住むことになる。病気で変態で、子供たちにも危険な存在よ。』

 

ボビーは家から完全に出ることにします。家族が見送ってくれる中、母メアリーだけは、息子ボビーを認めず、家の中に籠り、見送りに出てきません。

 

ポートランドに越してきたボビー。

純忠満帆と思いきや、

恋人が浮気しているのを発見したボビーは消沈。同時に母の言葉を思い出します。

 

『ホモセクシュアルは罪。一生地獄に住むことになる。病気で変態で、子供たちにも危険な存在よ。』

 

ボビーは家族にも恋人にも裏切られ理解されない絶望の中、橋の上から飛び降りて、命を絶ちます。

ボビーの訃報を知った家族は悲しみに暮れます。

葬式を行い、それからというもの、家族の雰囲気は暗くなります。

 

母メアリーは息子ボビーの自害に関してずっと考えていました。

 

母メアリー『わたしのせいで。。。わたしが息子を自害に追い込んだんだわ。』

 

罪悪感を感じる母メアリーは少しずつ、ゲイの子供を持つ親のコミュニティに参加するなど心境の変化が起きていきます。

そして、自分だけではなく世の中には同じように悩み、苦しんでいる家族がたくさんいること、

同時に、同じ数だけ同性愛の息子を愛し、認め、幸せに過ごしている家族がいることも知ります。

 

母メアリーはLGBTをサポートする団体へ入り、息子と同じような悲劇が起こらないように活動を始めます。

 

メアリーは『GAY DAY』に行われる会議でスピーチを行います。

 

『ホモセクシュアルは罪であり地獄に落ちる。子供にも悪影響だし変態で危険。息子がゲイだと知ったときにわたしが息子に放った言葉です。息子は8か月前、橋から飛び降りて自害しました。わたしは自分の無知さを後悔しています。宗教なんてわたしの勝手な偏見でしかありませんでした。

息子がこうなってしまったのも、わたしたち家族が理解せず、受け入れなかったからです。

彼の夢は小説家になることでした。そしてその夢をわたしたち親が奪うなんて絶対にすべきではありませんでした。

神様もきっと理解してくれて受け入れてくれると思う。今ならきっと言えると思います。

息子の性癖はなんのおかしなこともなく神様が与えてくださった自然なものだと。』

 

母メアリーはサンフランシスコのゲイパレードに参加します。

そこで胸を張って歩く母メアリー。

 

母メアリーは息子ボビーを見つけます。

 

実際には別人なのですが、母メアリーは息子ボビーを強く抱きしめます。

 

ボビーは母メアリーに認められて涙を流しています。

 終わり。

↑批評家から大絶賛の原作はこちら。


感想

『Children is listening』

子供は大人に言うことを聞いています。

母メアリーを演じたシガニーの感動的なスピーチです。

 

子供は小さいから分かっていない、だから何を言っても大丈夫だ。

 

そう思っているのは大人だけ。大人が思っている以上に子供は賢いのだと思います。

だから、心無い一言やふとした差別発言や嫌悪はキチンと子供へ伝わるのだと思います。

 

わたしも小さいことに言われたこと

 

『おかま野郎』

『ホモ』

『女っぽい』

『なんか変だよね』

 

そういった類の言葉は何だかんだどこかに残っています。言い放った相手は覚えていないだろうなと。

 

大人になった今でも、同性愛者を馬鹿にしたり嫌悪したりする人がいるのは理解できます。

それでも、知り合いや出会う人が一瞬でも同性愛嫌悪の発言をした場合、悲しい気持ちになったりすることもあります。

相手を変えるのも理解してもらうのも難しいし時間がかかるのです。

それだったら既にUnderstandingな人が世の中にはたくさんいるのだから、そういう人と積極的に関わった方が気持ちが良いし、人生の時間の節約になるかなあと。

偏見や変な信条のせいで同性愛嫌悪、そして同性愛の友人が出来ないって勿体ないです。ゲイには魅力的な人ばかりですから。

 

友人の英国人。

彼は親にカミングアウトをしました。

しかし、翌日手紙が届きます。

 

『もうあなたとは家族ではいられない。』

 

それ以来、彼は家族と会っていません。

 

子供よりも宗教を重視する親。

そして親に拒絶された子供。

彼は人気者で明るいのですが、ふとした瞬間の悲しげな表情が今でも忘れられません。

 

わたしも家族にはカミングアウトしていないですし、理解してもらえるとも思えません。

 

『自分の息子が同性愛者だったらどうしよう』

『自分の息子が同性愛者かもしれない』

 

そんなときにこの映画はとても力になってくれると思います。

親が理解してくれれば子供は本当に嬉しいです。何だかんだで血のつながった親はかけがえのない特別なモノ。

親次第で子供の幸福度も大きく変わってくると思います。

すべての親に見てもらいたい映画です。

素晴らしい映画でした。