映画をまだ観ていない方は、映画の結末まであらすじが掲載されているのでご注意ください。鑑賞後に読んでいただけたら嬉しいです。いつもありがとうございます。
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映画『ムーンライト』を鑑賞してまいりました。
★★★★★LGBT映画の新たなるマスターピース。新たなる希望の光。
簡単なあらすじ
黒人・ゲイ・家庭崩壊という多重苦な主人公が、少年から青年になるまでの話し。
概要
2016年ベスト映画との呼び声も高い本作。実際、数々の賞を受賞しており、観客からも熱狂的に受け入れられています。
出演者も99%黒人です。
アカデミー賞作品賞を受賞しました!!
ネタバレ
歴史的大傑作『ブロークバック・マウンテン』
芸術的に昇華されました『Single Man』
個人的お気に入り!『ミルク』
(3部構成)
1、幼少期
シャイロン少年は仲間たちからいじめられています。
『ファゴット!』
逃げ込んだ空き家にて男と出会います。
その男はシャイロン少年をレストランに連れていき、面倒を見始めます。
男はシャイロン少年の家に送り届けるも、そこにはドラッグ中毒の母親が。
母親は薬が切れた影響でいつもイライラしています。
勿論、育児放棄中でいつもスパスパしているかシャイロン少年に怒りをぶつける日々。
男はそんな家庭環境を見て、シャイロン少年を気に懸けるようになります。
海で泳ぎ方を教えたり、家に招待してご馳走したりと、まるで息子のように接します。
シャイロン『ファゴットってどういう意味?』
男『男が好きな男ってことだよ。』
ある時、男はシャイロン少年の母親が車の中でドラッグを使用しているところを見つけます。
男『子供がいるのにドラッグなんてしてんじゃねえ』
男は激怒します。
母親『あんたが売ったドラッグを吸っているの。だったらあんたが代わりに育てれば。』
男はドラッグの売人でした。まさか自分が売っているドラッグの顧客がシャイロン少年の母親だとは知りませんでした。男は何も言えません。
後日、男はシャイロン少年に言います。
男『俺が、お前の母にドラッグを売っていたんだ。』
シャイロン少年は男の元を去ります。
2、思春期
高校生のシャイロン。相変わらずヤク中の母親は健在で、お金をせびる日々。
シャイロンは、以前から面倒を見てもらった男(自分の母親にドラッグを売っていた売人)と交流があるものの、男は亡くなっていることがわかります。その後も母親と一緒にいたくないシャイロンは今は未亡人となった男の妻にお世話になっています。
学校では、不良グループに絡まれます。
『お前なんで、そんなタイトなジーンズ、ねじこんでだよ』
そんな中でも幼少期からの友人ケビンとは不思議な距離感にあります。
ある時、シャイロンは
『ケビンが女とまぐわっている夢』を見ます。
ケビンに海に誘われたシャイロン。
月夜の夜、二人は将来の夢について語り、ついにキス、そのまま抜き合いをします。
翌日、学校で不良グループのメンバーがケビンに指示をします。
『このおかま野郎のシャイロンを殴れ』
ケビンは嫌がりましたが、ゲイだと思われるのを恐れ、シャイロンを殴ります。
シャイロンは病院へ運ばれます。
『殴ったやつは誰か』と聞かれるも、シャイロンは答えません。
翌日、シャイロンは何かを決意したように学校へ行きます。
教室に入り、シャイロンは椅子を持ち上げ、不良グループへ振りかざします。
不良は動きません。
シャイロンは警察に連行されます。
ケビンはその姿を見つめています。
3、青年
シャイロンはマッチョな黒人になっています。ラップ音楽、マッチョボディ、金歯、そして売人に。
以前、世話をしてもらっていた男と同じような人生になっています。
ある時、電話が。
『ハロー、ケビンだけど、、、元気か?』
超久しぶりにケビンから連絡があります。
ケビン『今、マイアミに住んでレストランを経営しているんだ。もしよかったら来てくれよ。それと、、昔、殴ってごめんな。』
翌日、シャイロンは夢精していました。
シャイロンはリハビリ施設に向かいます。母親に会いに。
母の姿、思いを聞いて、シャイロンは恨んでいた母親を許します。
マイアミまでケビンに会いに行くシャイロン。
シャイロンと再会、ケビンの家へ。
シャイロンは告白します。
シャイロン『俺はお前以来、好きな人は一人もいなかった。誰にも触れられていない。』
シャイロンとケビンはベッドの上で寄り添っています。
あの月夜(moonlight)の輝く浜辺の日を思い出しながら。
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感想
映画『ムーンライト』はムーンライトのごとく光り輝いていました。
本作は『ブラックのゲイ、しかも貧困層』という超希少な映画となっています。
それだけでも素晴らしいのに、映画自体もとてもバイオレンスでもあり、またセクシーに出来ています。
たった一人の青年が恋をした。
ただそれだけの映画なのに、ただ恋をしてしまっただけなのに
苦悩の種となる。
ただ、ゲイというだけで。
誰にでも恋の経験はある。
それなのに素直に表明できない。
ただ、ゲイというだけで。
本当はみんなのように恋バナもしたいし恋人とイチャイチャしたい。
恋人を自慢もしたいし、外にデートに行きたい。
でもそれも難しい。
ただ、ゲイというだけで。
そんな悲しいことってないですよね。
ゲイは悩み多き人種なのである。
でも悩んだ分、人の痛みの分かる、やさしい人になる。
ゲイは優しくなるために生まれてきたのだと、わたしは思います。
どんなワルでもピュアなのです。
そして、
このような素晴らしい映画が創られる意義。
それは『希望を与えること』です。
ストレートの人は想像がつかないかもしれませんが、性的マイノリティの方々は将来に不安を覚えることがあります。
ストレートの人にとっては、
『結婚をして子供をつくり、老後は子供の世話を受けながら寿命を全うする。』
など、参考にできる生き方がたくさんありますよね。本でも映画でもほとんどがストレートのお客さんを対象にしている。
そう、
LGBTの人々にとって理想であったり目標にすべきロールモデルが圧倒的に少ないのです。それは今まで自分の性癖を社会的に開示できないという大きな理由があったからです。
なので、LGBTの人々は将来を不安に感じることが多いのです。だって参考人生が少なすぎるから。
今まで聞いたことがありますか?ゲイの一生の一例を。
どうやって生きて、どうやって死んでいくのかを。
世の中に何億人もの性的マイノリティがいるのに全然知らない、、、、
ドラマも映画もストレートの人たちのものばかり。
性的マイノリティが出てきても、イロモノか笑いもの、もしくは女主人公の恋の相談相手。。。
そんな情報不足の世の中。このような同性愛をテーマにした映画は希望なのです。
だって新たなるヒーローやロールモデルを提供してくれるから。
もしかしたら、多くの人にとって、
『このゲイ映画、とっても面白かった。』
という感想一つで終わるかもしれないのですが、私にとっては語っても語りつくせないほど人生を導いてくれる希望なのです。
ところで、
なぜ、本作が『Moonlight』という題名なのか。
性的マイノリティという存在が、日陰の存在、暗闇のような苦しい中に存在していた。
でも、夜を照らす月夜のように、どんな暗闇の中にも必ず光はあるのだと。
そして、月の光のように美しく、幻想的で、輝きを放つ、そんな素晴らしい存在なのだと。
わたしはそう受け取りました。。
このブログが一人でも多くの人の光になれば。。
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(Photo credit: IMDb)