映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』内容&ネタバレ 過去のトラウマから心を閉ざした主人公。ある日、兄の子供の世話をすることに。








映画をまだ観ていない方は、映画の結末まであらすじが掲載されているのでご注意ください。鑑賞後に読んでいただけたら嬉しいです。いつもありがとうございます。

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映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を鑑賞してまいりました。

静かだけれど心揺さぶられる。

概要

ケネス・ロナーガン監督によって制作された素晴らしい2016年を代表するインディーズ映画。主演のケイシー・アフレックは主演男優賞を総なめ中、アカデミー賞主演男優賞も見事、受賞しました。

あらすじ

便利屋(配管工?)として静かに1人で暮らすリー。ある時、兄の訃報が。兄の残された息子(甥っ子)の面倒を見る生活が始まる。

出演者・監督

ケイシー・アフレック
そう、あの大スター、ベン・アフレックの弟。華々しい彼の存在と比べると、随分と影は薄い印象ですが、いろいろな素晴らしい映画に出演されています。個人的には『インターステラー』と『ゴーン・ベイビー・ゴーン』での困り顔しか記憶に残っていないのですが、本作は彼の新たな代表作になっています。心の傷を持ちながらも愛を持ち続ける人物。
本作でオスカー受賞。おめでとう。狙いすぎな映画の狙いすぎの演技の人が認められる傾向ですが、こういうインディーズ映画の静かな演技が認められるのは素敵です。
結局、最終的には地味目な人が勝つ!『GoneBabyGone』
顔はベン兄貴、付き合うならケイシー兄貴。
ミシェル・ウィリアムス
地味なんだけど何となく高級なセレブな猫のような上品な女優のイメージ。ここ数年、外した映画の方が少ないのではないかというくらい作品選びが上手。レニーゼルウィガーのポジションを貰った感じ。地味 in a good way。
ブロードウェイのウィキッドを観ると、また更に好きになります。『Oz』
マジでマリリンモンローに見えてくる。。。
受賞しても良かったよね。『BrokebackMountain』
マシュー・ブロデリック
めっちゃ久しぶりに見ました。

トリビア

・当初はマット・デイモン主演・監督で企画が進められていたがスケジュールの都合で降板、友人のケイシー・アフレックに代役をお願いした。
・マンチェスター・バイ・ザ・シーはマサチューセッツ州にある実在する街。
・主人公リーはベジタリアンのため、引っ越し先の兄の家の冷蔵庫にもビーガン用の肉がある。
・監督も少し出演していました。
(From IMDB)
ケネス・ロナーガン監督


ネタバレ

船の上で魚釣りをするリーと甥っ子パトリック。
そんな回想。
便利屋さん(配管工?)として働くリー。今日も色々な人の家のトイレや水回りを修理しています。
中には失礼なおば様ババアもいるのでそんなときは『クソビッチ』と反撃します。
バーに飲みに行きます。リーに話しかけてくる女性もガン無視、目があったというだけでいちゃもんをつけ殴り合い。リーは酒癖の悪い男。それに加えていつも何か思い詰めた表情をしています。
リーは人生に嫌気がさしているようです。
リーは突然の訃報を受けます。
『お兄さんが大変な状況だからすぐに病院に来て。』
病院に到着すると兄は亡くなっていました。
数年前に余命宣告をされていたので準備はできていたもののショックなリー。
リー『ところで、兄の息子のパトリックはどうするんだ。』
兄は、リーを甥っ子パトリックの後継人として登録していたことを知ります。
後継人になることを拒絶しつつも、兄の元嫁はアル中で兄が余命宣告を受けて家を捨てて出ていきました。
そんな女にパトリックを任せられないと思い、リーはママンチェスター・バイ・ザ・シーへ向かいます。
しかし、リーにはマンチェスター・バイ・ザ・シーに行きたくない理由がありました。
リーは以前は、妻と娘3人に囲まれた幸せな家庭を築いていました。
リーの仲間たちとガレージで酒を飲んでいると、
妻『いつまで家で騒いでいるんだよ!?』
妻にそう怒られることもありますが、とてもラブラブです。
ある夜、リーは家族を思って暖炉の火をつけ外出します。
家に戻ると、家は燃え、外では
『中に子供が、、、!!』
妻が泣き叫んでいました。
リーの3人の子供は亡くなり、妻は呼吸困難で救急車で運ばれます。
警察署にて事情聴取を受けるリー。
リー『僕の責任だ。僕が暖炉に火をつけて家を出たから、、、、』
警察『今日は家に帰って休みなさい』
リー『僕は罪に問われないのか?』
罪悪感マックスなリーは警察官の拳銃をとっさに取り、自分のこめかみを撃とうとするも未遂に終わります。
妻に責められ、離婚、リーはマンチェスター・バイ・ザ・シーを離れることにします。
マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくると、その記憶を思い出してしまうので帰ってきたくなかったのです。
マンチェスターに住む甥っ子パトリックに会いに行くリー。
リーは兄の葬式が終わるまで、兄の家でパトリックと共同生活をすることにします。
パトリックは今時の自由な青年。
彼女は二人いるし、バンドも組んでいて、家にも彼女が毎晩泊まりにくる始末、
そんなパトリックに対してリーは何も言わずに尊重します。言いたいことはたくさんあるのですがあくまで親としていうよりは叔父さんという感じで接します。
パトリックも父親を亡くし、情緒不安定になることもありますがリーが支えます。
というかリーも情緒不安定です。
2人の共同生活は何だかんだでうまくいき、パトリックも心を開き始めます。
リー『ボストンで仕事が見つかった。』
マンチェスターに仲間や彼女がいるパトリックはマンチェスターを離れたくありません。
葬式が終わり、
リー『ボストンへ行くよ。ボストンでは広い家を借りたから、いつでも訪れてくれよ。』
リーはマンチェスターを離れる決断をし、パトリックの新しい後見人も用意します。
ある日、リーは別れた妻に出会います。
妻は新しい夫との間で妊娠、出産していました。
元妻『あなたも辛かったのに、責めてばかりでごめんなさい。もう一度やりなおしたい』
リー『思い出して辛くなるんだ。』
そういって元妻のもとを去るリー。
リーは完全にマンチェスターと決別したようです。
昔のようにパトリックとその彼女とボートに乗るリー。
昔の小さなパトリックと、成長して彼女までいるパトリック。まるで息子をみているかのように、笑顔でみつめるリー。
終わり

感想

ああ、田舎の男、というかアメリカンはどうしてこう、、暴力的なんだろう。。
酒癖が悪くてバーで殴り合い、怒りのあまりゴミ箱を蹴ったり、窓ガラスを割ったり、、、
血の気が多すぎる。
本作は田舎のマンチェスター。都会のように洗練されておらず、未だにマッチョ思想な男が必要とされる社会、だと思います。
そのため、男っぽい趣味を持ったり、酒を飲んだり、スポーツを見てワイワイガヤガヤしたり、、、、
そうでないとおかま野郎と言われて殴られます。(偏見)
男は仕事、酒、女、たばこ。女は家事。みたいな、そんな場所。
パンケーキとかマカロンみたいなそんなファンシーなもの食べられなさそうです。
女性もなんというかあか抜けない感じ。ハローキティのスウェットを着ていたり、やっすそうなサンダルでイオンに買い物に行ったり、子供にキラキラネームをつけたり、、(偏見)
田舎過ぎてやることがないので、セックス、若くして子供を持つヤンママが多いのも特徴の一つ。
そう私の故郷と同じなのです。
主人公リーはそんな田舎街のマッチョ男の一員ですが、少しドジな所があります。
道端で転んだり、車のカギを落としたり、時には泣いたり、監督は意図的にこのような描写をしています。
フェミニスト、というわけではないけれど、繊細な一面も持ち、マッチョになりきれていない主人公リー。
俺の言うことは絶対だ!というわけではなく、あなたの意見を尊重する。そんなスタンスの主人公リーはかなり洗練された男性でした。
義理の息子パトリックもそうです。
超プレイボーイなんだけど、細マッチョで何よりも女性を尊重しています。
案外、アメリカンはマッチョにならないといけない、という脅迫観念に苦しんでいる人って多そうですよね。
日本でもそう、おかまにみられるような女っぽい趣味を敢えて持たない男っていますよね。本当は気になるのに。
そういうやつに限っておかまを馬鹿にするんですよね。自分の女性性を認めたくないんですよね。
近年のハリウッド映画、というか映画はほとんどが洗練された都会の人たちによって作られるので、最近は中世的な男性が多いですよね。中世的と言ってもおかまっぽいとかではなく、ブラッドピットやトムクルーズ、ジョニーデップ、、、がっちがちのマッチョ男というよりは女性を尊重しますてきなスタンスの男性が増えていますよね。
日本も昔は家父長的でしたが最近は変化していますよね。
女性も仕事を続けていたり、男性も育児休暇を取得したり家事を手伝ったり。
私の女性の友人も、専業主婦希望の方もいますが、単に仕事をしたくないからとのことです(笑)。めっちゃ分かる。
肝心の映画ですが、
若干暗めのお話で、お気に入りの映画かといわれると、、、です。
劇中の悲劇の連続や鬱蒼とした雰囲気、そしてNegative Way Of Thinkingな人たちの誰にも共感できなかったのもあるし、マンチェスターの街自体、閉鎖的な生まれ故郷を思い出してしまったのもあるのかもしれません。
ずっと曇り空のマンチェスター。。。これは病むわ。。。
ただ、妙な中毒感があるのは確か。ずっとこの世界に浸っていたくなるようなそんな感覚。
この話は人生の一部分を切り取った映画でした。ほとんどがそうですが。
映画とは、人生の一瞬を切り取ったものに過ぎない。どの人生もどの瞬間も見方によっては映画の題材にもなりうる可能性を秘めた素晴らしい一瞬なんだな、と思いました。
主人公リーは、兄が死に、甥っ子のパトリックと過ごすことで、少し笑顔を取り戻したことは確か。
人生、辛そうに思えても結局はハッピーになるようにできているんですよね。
最後に、
リーは最終的にパトリックの後見人とはなりませんでした。
『自分は自分、他人は他人』っていう考え方素敵だと思います。
いくら血がつながっていても自分の人生の目的や意義を優先する。それは自己中心的というわけではなく、自分の人生を生きている感じで素敵です。
自分の気持ちに嘘をついてまで何かをする。
そんなのお互いにとって不幸になるのは目に見えています。
トラウマを抱えた主人公⇒それを乗り越える⇒ハッピー。。。
こういう映画も悪くないけれど、本作はそんな短絡的な美談にはまとめずにあくまでも、『人間は少しずつ変わっていくし、劇的な変化もない。』
そんなリアリティのある映画でした。
静かだけれど心を揺さぶる素敵な映画、おすすめです。

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*(Photo credit:  IMDb)