映画をまだ観ていない方は、映画の結末まであらすじが掲載されているのでご注意ください。鑑賞後に読んでいただけたら嬉しいです。いつもありがとうございます。
タイ映画『ギフト』を鑑賞して参りました。
概要
映画館を当てもなくウロウロしていたら、ブースを発見。
崩御されたプミポン国王に捧げる映画だそう。
しかも、な、なんと『無料』
今まで1バーツで映画鑑賞した事があったけれど、さすがに『無料』は初めてなので早速。
お金を支払いたいほど素晴らしい映画でした。
4本仕立てという長すぎるラインナップ。
ポップコーン買っておけばよかった。
ネタバレ
エピソード1 Beautiful Garbage
父はごみ収集員として家族を支える主。
高校生の娘と息子、そして再婚した嫁の4人暮らし。
収入は少ないものの、娘と息子のために朝から晩まで働く日々。
再婚した嫁さんには『こんなポンコツな男と結婚しなきゃよかった。』と小言を言われる日々。
ある時、娘との朝食中、
娘『携帯電話の調子が悪いの。新しいの買っても良い?16,000バーツなんだけれど。』
父『高すぎるよ。今の未だ使えるんだろ。新しいのは必要ないよ。』
娘はムッとして学校へ行きます。
父『ちょっと待ってよ。いつものハグは今日は無いのかい?』
娘『お父さん、匂うのよ。ちゃんとシャワー浴びてよ』
娘は登校中、お金持ちっぽい高校生を羨ましそうに見ています。
そして、娘はあるところに電話をかけます。
娘『もしもし?アルバイトをしたいんですが。』
娘は面接を受けるためにカフェへ。
仕事は勿論、売春。
一方で、
息子はモーターサイのドライバーとして働いています。
友人に誘われサッカーロッタリーに手を出す息子君。
しかし、予想は外れ大損。
40,000バーツの借金を背負ってしまい、借金取りにボコボコにされてしまいます。
娘も息子もお金に困っています。
場面は変わり、父さん。
父『いつかお金を貯めて息子に新しいバイクを買ってやるんだ。』
『一体いつ頃になるんだろうな』
そう同僚にからかわれて、ムッとした父はごみ袋を同僚に投げつけますが、そのごみ袋は勢い余って通りすがりの自動車にぶつかってしまいます。
中から怒って出てくるドライバー、そして一謎の分厚い封筒も車の中から落ちてきます。
父はこっそりと封筒を拾い、その場を収めます。
封筒の中身は、なんと10万バーツ。
家に帰ると、アザだらけの顔をして帰ってきた息子。
息子『40,000バーツ借金しちゃったんだ。でも、自分で何とかするから大丈夫。』
そのまま息子はどこかへ行ってしまいます。
父『娘よ。新しい携帯電話が欲しいんだよな?』
娘『大丈夫よ。お父さんが一生懸命働いてくれているのを知っているから。携帯電話はいらないわ。』
夜中、父は仏壇に向かって話しかけます。
父『おばあちゃん、嫁よ。俺はポンコツで何の取り柄も無い、しがない男だ。でも、娘と息子のために一生懸命に働くよ。』
父は拾った10万バーツを警察に届ける事に。
『もっと娘さん、息子さんと時間を過ごした方が良いよ。』
父『息子も娘も問題無い良い子だから大丈夫だよ。』
娘と息子が陰で何をしているのかも知らずに。
場面は変わり、娘は遂に売春に手を染める事に。
売春斡旋の男『君は偉いよ。多くの人は処女を無料で捧げるだろ。でも君はお金をもらって処女を捧げるんだ。』
父が拾った10万バーツは実は、娘の処女を捧げるという売春の報酬でした。
緊張する娘。
欲しかった新しいiPhoneも机に置いてあります。
場面は変わり、息子。
息子はお金を稼ぐために友人と共にドラッグに売人に。
しかし、警察の囮捜査に引っ掛かります。
逃げ惑う中、友人は射殺されますが、息子は何とか逃げ切ります。
翌朝、
父がいつものように朝食を作っていると、息子が帰ってきます。
父『息子よ、匂うぞ、シャワーを浴びろよ。』
そして、娘も帰ってくるや否や、父に抱き着き泣き出します。
娘『お父さん、ごめんなさい。』
父、息子、娘は抱きしめあいます。
終わり
(超中途半端な終わり方)
感想
父はごみ収集の仕事中に、プミポン国王が書いた『MAHAJANAKA』という本を拾い、それを一生懸命に読んでいます。
『MAHAJANAKA』のテーマの一つは“perseverance(忍耐)”。
目標や誰かのためにコツコツと努力する事の素晴らしさを説いています。
物語の父は常に困難に耐えながらも家族のために一生懸命に働いています。
一方で、目先の欲を手にれるために親の知らない所で非行に走る子供たち。
一体、製作者の意図は何だったのか。
プミポン国王が大切にしてきた“perseverance(忍耐)”を守る父親の模範を示す事だったのでしょうか。
とても中途半端な終わり方だったので続編希望です。
それにしてもドラッグの売人やら援助交際やら、若者が考える事はどこも一緒だなと。
日本のように欲しいモノがすぐに買えない若者たちの、ある意味、逞しさは好きです。


エピソード2 Raincloud on the mountain
チェンマイの山奥へやってきた大学生達。
目的は授業の一環で、気を植えて森林を復活させる事。
リーダー君とその仲間たち。
リーダー君は、仲良しのドン君に片思い中。
リーダー君『初めまして。昨日お話した通り、使っていない4エーカーの土地に植林していきます。宜しくお願い致します。』
『よろしく』
しかし、遠くからとことこと人影が。
村民『この土地に木を植えるんでねえ。これから農作物を作るんじゃ』
リーダー君『話が違うじゃないですか。』
結局、代わりに1.5エーカーの空いている土地を提供されます。
リーダー君『4エーカーじゃないとダメなんだ。』
『嫌なら帰りな。』
その晩、大学生君たちは解決策を出し合います。
『1.5エーカーでも十分じゃない?』
『成績を評価する人に嫌われたらどうすんだ?』
『てか、リーダー使えないわよね。先生のお気に入りだからリーダーに指名されたそうよ』
そんな口論の中、
『そんなら村の人たち一人一人に聞いて余っている土地を貸してもらおう。全部で4エーカーになればよいんだろ。』
翌日、
みんなで手分けして土地を貸してもらう交渉に行くも上手くいきません。
何とか候補地を見つけるも結局ダメ。
リーダー君『どうして、みんな目先の利益の事ばかり考えるんだよ。森林破壊はダメなのに』
村人たちと争いを起こしてしまった大学生達は、成績を無条件で与える代わりにプロジェクトの強制終了を伝えられます。
それでも納得が行かないリーダー君。
『それなら演劇で植林の大切さを伝えましょう。これなら誰にも迷惑をかけないでしょう』
みんなで演劇の準備を始めます。
劇の本番、村人が集まります。
昔々、美しい森林がありました。そこに住む2匹の豚。そこにやってきたオオカミ。お腹を空かせていたオオカミにトウモロコシを与える豚。
オオカミ『どうして森林を刈ってしまうんだい。おいらの家も食料も無くなってしまうよ。』
豚『トウモロコシを育てるためよ』
オオカミ『でも、トウモロコシはもう十分あるじゃないか。』
豚『・・・』
そこへ観客である村人が言います。
村民『家族を守るため、生活するためよ。』
リーダー君『森林が無くなったら環境破壊、そして人間が住めなくなって皆死んでしまうんだよ。森林伐採はやめてください。』
村民『そんな事をしたら自分たちが生活できなくなって死んでしまう。』
リーダー君『短期的な目線でしか見られない。環境はどうなっても良いっていうのか?』
口論となり、劇は中止。
一行は大人しく帰ります。
リーダー君は村民の代表者と二人で話します。
『自己中心的なわけではない。みんな、周囲の人が幸福に暮らせるように考えているだけなんだ。』
『君たちはまだ若い。君たちが大人になった時に変えてほしい。周囲を見てくれ。君たちには仲間がいるだろう。力を合わせれば何でもできるよ』
帰りの車の中、渡された成績表を見るとオールA。
プロジェクトは上手くいきませんでしたが、心意気は伝わったようです。
終わり。
感想
理想と現実。
目先の事を追い求めても上手くいかない。でもそうせざるを得ない。
プミポン国王は環境保全にも力を入れていた方。
その際に理想と現実の難しさに苦難をされたのだろうなと。
環境も大事だけれど国民が幸福に生きる事も大事。
環境保全はタイにとって大きな課題。
プミポン国王の意思を継いで、みんなが考えていくべき事なんだ。
そんなメッセージを感じました。

↑リーダー君(ゲイ)の無駄な悲しい片思い物語も並行していました。
エピソード3 『タイトル不明』
父の祖父はテロリスト。
そんなテロリストの息子との婚約に反対した母方の祖母。
母は駆け落ちして田舎へ行くも、娘を残して父は突然行方不明に。
母と二人暮らし。
会った事の無い祖母を尋ねてバンコクへ。
そこで爆弾テロに巻き込まれそうになるも、母の電話で助かる。
そして、テロリストになってしまったのではと疑っていた父は、実は父はタイ全土の土壌改善に取り組んだいた事が明らかに。
という話。(多分)

エピソード4 Letters
田舎町の少年がプミポン国王へ手紙を書いた。
郵便を配達する自動車に隠れて乗って、バンコク、そして王宮へ。
終わり。
