【ネタバレ解説】ホラー映画『 獣の棲む家/His House』亡命先の新居に亡霊。アフリカ系夫婦が抱える秘密。








映画『獣の棲む家/His House』の結末やあらすじ、感想・評価、作品の概要やキャスト等が掲載されているのでご注意ください。いつもありがとうございます。

【評価】
星 8/10 ★★★★★★

怖すぎて、観賞後にSATCで気持ちを中和した。

簡単なあらすじ

南スーダンからイギリスへ亡命してきた夫婦の新居に襲う亡霊。

概要

・原題:His house
・製作国:アメリカ、イギリス
・製作年:2020

南スーダンの夫婦が主人公という異色のホラー映画。

幽霊のビジュアルもそうですが、壁の穴からギョロっと覗いている演出は一生忘れられない。

ネタバレ

主人公ボルと妻リアルは、戦争で激荒れ中の南スーダンから娘ニャガクを連れてイギリスに難民としてやってきました。

 

亡命中の過去が回想されます。

彼らは受け入れ先のイギリスを目指し、大量の難民を乗せたボートによって荒れ狂う地中海を彷徨っています。

 

「助けて!」

 

定員オーバーのボートは大波に耐えられず転覆。仲間の難民や娘ニャガクも海で命を落としてしまいます。

無事にイギリスに辿り着いたボルと妻リアル。

3ヶ月後にようやく保護観察下だけれど亡命許可がおり、イギリスで生活できるようになります。

 

「君たちはあくまで保護観察中であり、イギリス人ではない。もし何か問題を起こしたらすぐに南スーダンに強制送還になるので、常に模範的であるように注意してください」

 

新居に案内されるボルと妻リアル。
古い家で壁もボロボロだけれど前の生活よりはまし、二人は慣れない環境での生活を始めます。

亡命&黒人という要素のためか、新しい友人作りも難航し、差別も受けてしまいます。
しかし、ボルは新天地のイギリスに馴染むために、現地の人のような服装をしたり、バーでのサッカー観戦で無理やり一緒に盛り上がったり、食事の際は素手ではなく、ナイフとフォークを使用しはじめたりと頑張ったりしていますが、妻リアルはうまく馴染めていません。

妻リアルは、故郷の南スーダンの文化を忘れることができず、娘のネックレスを大切につけ、カラフルな服を着て、故郷でしていたようにテーブルを使用せず、素手で食事をとります。

そんな生活が続く二人ですが、家では奇妙な現象が起きていることに気付きます。

 

暗闇に突然現れる男。

深夜、屋上や壁の奥から聞こえる物音。

壁に吸い込まれていくボールなどの謎の超常現象。


↑ビジュアル怖い。

妻リアルは部屋に現れる正体に見当がついています。

「あれはApeth。こんな話を聞いたことがある。ある男がApethからモノを盗んで、それから家を建てた。Apethは彼の家に住み着き、男を苦しませ続けた。Apethを鎮めるにはApethから盗んだモノを返すしか方法はない。そうすれば海で死んだ娘を返してくれるわ」

二人は亡命中に、何か後ろめたい気持ちになる秘密を抱えていることがなんとなく分かります。


↑Apethさん。

ボルと妻リアルは亡命途中で亡くなった娘ニャガクをずっと気にしています。

引き続き、家での超常現象は続き、ボルも妻リアルもおかしくなっていきます。ボルは家中の南スーダン由来の洋服や妻リアルの大切にしていたネックレスを燃やし、妻リアルも南スーダンに帰りたい気持ちが強まっていきます。

数日後、ボルによって燃やされたネックレスも、娘ニャガクの亡霊によって返却されます。(怖すぎ)

 

ある日の夜。
物音で目覚めるボル。暗闇にはナイフを持った人影。

 

「お前は俺から盗んだ。返せ。お前の命を差し出せ。そうすれば娘は帰ってくる」

 

数日後、
おかしくなったボルから逃げ出すために、妻リアルは家から脱出しようとしますが、家に閉じ込められます。

妻リアルは家を脱出することに成功しますが、そこはかつて自分が過ごした南スーダンの見慣れた教室。

仲間と談笑する妻リアル。

 

「私の娘ニャガクはどこにいる?」

 

仲間は言います。

 

「あなたには娘はいないでしょ」

 

不可解に感じる妻リアルですが、記憶がフラッシュバック。

自分以外の仲間は全員虐殺によって命を落とし、棚に隠れていた妻リアルだけが助かっていました。ボルと一緒に亡命を決意し、バスに乗ろうとする二人ですが定員オーバー。

 

「子供がいる人優先よ、ごめんなさい。あなたは乗せられない」

 

焦ったボルは、側にいた見知らぬ女の子ニャガクを自分の娘と偽り、バスに乗ります。(誘拐)
そして、ボートに乗る3人ですが、連れてきたニャガクを転覆事故で死なせてしまっていました。

家に現れた幽霊はニャギク、そして転覆事故で死んでしまった仲間たち、そしてApethでした。

ボルと妻リアルはずっと罪悪感を抱いていました。

 

ある晩
代償(命)を求めにやってきたApeth。
ボルはニャガクを誘拐し、事故で死なせてしまった罪を受け入れ、Apethの死の要求を受け入れようとナイフで喉を裂こうとするも、妻リアルが現れ、妻リアルは逆にApethの喉を切ってしまいます。

二人はイギリスで生きていくこと、そして亡くなった仲間たちの亡霊と共に生きていくことを誓います。

まとめ

家に出る幽霊は亡命中に命を落とした仲間たち。

亡命中の辛い出来事に目を背けようとする二人でしたが、自分が行った罪を認めることと共に(Apethを追い払う)、亡くなった仲間たちの亡霊と共に、イギリスの新居で生きていくことを決めました。めでたしめでたし。

Apethはボルと妻リアルが生み出した「罪悪感」の塊の悪魔のような存在だと思いました。