【ネタバレ解説】タイ映画『ハッピー・オールド・イヤー』全てを捨てる。服も家具も元彼も。








映画『ハッピー・オールド・イヤー/Happy Old Year の結末やあらすじ、感想・評価、作品の概要やキャスト等が掲載されているのでご注意ください。いつもありがとうございます。

【評価】
星 8/10 ★★★★★★★★

簡単なあらすじ

スウェーデンから帰国したジーンは、ミニマリスト生き方に感化され、実家のモノたちを断捨離していくが・・・

概要

・原題:ฮาวทูทิ้ง ทิ้งอย่างไร..ไม่ให้เหลือเธอ
・製作国:タイ
・製作年:2019
・監督: ナワポン・タムロンラタナリット
・主演 チュティモン・ジョンジャルーンスックジン

タイの新鋭製作会社GDHの最新作。期待通り、大満足。

ネタバレ

主人公ジーンは4年間留学していたスウェーデンから帰国したばかりの若い女性である。

北欧家具を学びインテリアデザイナーとして働き始めたジーンですが、クライアントにオフィスはあるか聞かれます。

 

ジーン「ええっと・・・新しい事務所については今考えているところです。」

 

全く予想外の質問でしたが、ジーンは実家を改装して、スウェーデン風ミニマリズムちっくなシンプルなオフィスにすることを決意。

しかし、実家は父がいなくなってからは凄まじいモノの数。

兄はまあ賛成するも母親は猛反対。特に、父親が置いていったピアノだけは捨ててほしくないと主張します。

 

母「自分のスペースは好きにしたら。でも、この1階はわたしのスペースだから触らないで!」

 

ジーンは友人のデザイナーのアドバイスで年越し前の大晦日までに断捨離を終えることを決意。

スーパーでごみ袋を大量購入し、自分の部屋の不要なモノを捨てていきます。

 

ジーン「この雑誌いらない。通知表、いらない。服、いらない。CD?ダウンロードの時代にCDなんていらないわ」

 

順調に捨てていくジーンですが、捨てたCDは友人からのプレゼントだったことを思い出し、その友人と喧嘩したり・・・

同様に、兄も断捨離を始めていますが、ジーンの手編みのマフラーも捨てられていてショックを受けます。

 

「友人の気持ちが分かったわ」

モノにも思い出が宿っていると気づいたジーンは、借りパクしていたモノたちを返却しにいきます。

 

「貸したのすら忘れてたわ。でも、ありがとう」

 

喜ぶ人もいれば、怒る人もいます。

 

「今更・・・?(怒)」

 

断捨離も順調に進む中、元カレのカメラを捨てることができず、返しに行きます。

元カレは、ジーンが留学する際に元カレを捨てるような形で別れてしまっており、恨まれていると思っています。

 

ジーン「あの時はごめんなさい」

 

最終的になんだかんだ和解するも、元カレの彼女が登場。

ある時、

結婚するという友人から連絡が。

 

「学生時代の俺たちの写真、残ってるよな?申し訳ないんだけど探してもらえるかな?」

 

膨大なCD-Rデータに躊躇するジーンですが、探索を始めます。

そんな時、元カレに食事に誘われます。

レストランに到着するジーンですが、かつて元カレの家に忘れて置いていってしまったモノ(段ボール2個)を返却されます。その段ボールを開けると、元カレの母親からのクリスマスカード。ジーンはすぐにお礼と遅くなってしまったお詫びの電話をするも、元カレの母親は死んでしまったことがわかります。

 

ジーン「どうして教えてくれなかったの?」

 

元カレ「君には関係ないと思った。」

 

また、頼まれていた結婚式用の写真は元カレが保存していたデータの中にありましたが、その中には、かつてジーンと元カレが付き合っていた幸せそうな写真もうじゃうじゃ。

動揺を隠しつつも、目当ての写真をゲット。その写真を渡した友人は泣いてお礼を言います。

ジーンは断捨離をためらうようになり、大量のゴミ袋は家に置いたまま。

そんな時、リサイクルショップのオーナーらしきオジ様に名刺を渡されます。

 

「これは捨てるのかい?もし良ければ僕に売って欲しい。」

 

初めは売るつもりはなかったジーンですが改装費用が予想以上にかさむことを知り、売ります。

 

「あのピアノはどうする?」

 

流石にピアノを売ったら母親に怒られる&一応父親の思い出のピアノだしと思い、断ります。

兄はジーンに父親がいた頃の家族写真を見せてきます。

 

ジーンはなんとかして父親に電話。

久しぶりに話した父親はジーンのことなどすっかり忘れており、新しい人生を始めていました。そしてピアノも不要だと。

ジーンはピアノを売ることを決意。

ピアノを売られて母親は激怒。ジーンは引きこもります。

また、元彼は彼女とも別れたことを知ります。

 

ジーン「どうして彼女と別れたの?」

 

元カレ「君には関係ない。正直怒っている。君が謝ったら僕は君を許さないといけない。そんなの勝手だと思う」

 

12月30日

部屋は綺麗になり、ジーンは自分で捨てられなかった元彼との思い出の品などを、兄に捨てるようお願いして、ホテルへ。

 

12月31日

ジーンは一人ホテルの部屋でカウントダウン、そして元彼の連絡先を消し、父親が写っていた写真を破り捨て、1月1日を迎えます。

ジーンの家はジーンが思い描いていた真っ白なオフィスに改装されます。

感想

ミニマリスト的な生き方に共感し、断捨離を始めた主人公ですが、共感はできるものの自己中心的な主人公に振り回される周囲が不憫に思うことも。

モノには思い出が詰まっており、それは楽しかったものもあれば思い出しくないものも。人は忘れていく動物であるけれど、完全に忘れることって難しいのではと思います。どこかの引き出しに収納しているような感覚。何かきっかけがあればいつでも思いだせる。

もっと若い頃は未来の希望だけで生きていけたような気がします。今は、過去の思い出や栄光に浸る時も必要になってきました。今に迷ったときや悩んだ時に過去の写真や日記を読んでみる。忘れていたけれど、かつての自分はこんなことを考えたり悩んだり楽しんでいたんだな感慨に耽ることも多くなりました。自分の人生、結構充実していたんだなと自信になることもあれば、あの時こうすれば良かったのにと忘れたいのに忘れられない思い出たちも。でも、それも自分の人生に彩りを与えてくれるはず。

断捨離も素敵だけれど、思い出の積み重ねで日々を生きていることを思い出させてくれた映画でした。